何故かと言うと、テレビ番組で日本の伝統の技で装飾した腕時計を見てしまったのだ。
それは、制作に至った発端からその装飾の制作経過も含め、今年のバーゼルで展示された様子までカメラが取材し番組になったものである。
それは、エルメスのプロデューサーから持ちかけられた企画ではない事は、感じられるのだが、それにしては残念な仕上がりであった。
それは、日本の仲介者に問題がある。
フランスのブランドメーカーに、伝統工芸の産地の技を紹介する為に、日本に来て制作の現場を見て欲しいと案内を出したのである。そこでエルメスが腕時計のデザインで日本の工芸の技を使ってみたいと言う話を聞き、陶器の赤絵九谷を繋いだのである。
制作に繋がった上絵師の問題では無い。径3センチほどの文字盤に筆を走らせてこの様な絵を描くには、従来使っている筆の中でも最も繊細な絵を描ける筆をもってしても無理なはずで、結果がこの様な仕事になってしまった。
絵師もエルメスと馬具の事を知って、日本の流鏑馬の絵をデザインにしょうとした思いは判るが、その時には筆や従来の上絵の釉薬では描けないと思わねばならなかったのに、残念である。
またまた長くなってしまったが、先にも書いたように、良いものが商品になるには、仲介者の目利きの技量がが必要だ。
エルメスのプロデューサーは、この時計の仕上がりでバーゼルへ出すなんて。だから、脇の甘いエルメスに?をつけてしまった。けれど日本のそれぞれのトップメーカーの伝統工芸の装飾の利用(欧州の販売会社の社長の表現)から見たら、全然許せる範疇?である。
(続く)
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