だが、海外の展示会に出展したりバイヤーに会って直接世界のメーカーの
高級万年筆の事を教えてもらった頃から、考え方が変わった。ファンでもあった
N万年筆の最近を見ても、心がときめかないのである。
カランダッシュや海外の万年筆デザインを間近に見せてもらい、カルティエのプロデューサーに出会いお話を聞いたり、ルーブルの修理修復の技術を教えているエコールブール
フランス大使館での紹介ページ
http://www.ecole-boulle.org/の現場を見たり、スイスの時計工房の技を目の当たりにして、世界のものづくりと日本のものづくりコンセプトの違いはどこから来ているのかなど、考えさせられる機会を得て、色々な事が見えてきた。
それは、ものづくりに大きく影響をしている。海外のモノづくりは互いに刺激し合っているが、日本のメーカーのそれには、乖離さえ感じるのは私だけであろうか。
残念ながら、ペンメーカーの装飾には期待を抱くから逆にがっかりする。そこには日本らしいが本当の「日本のものづくり」を感じない。
だから今までは万年筆装飾には興味がありながら、関わろうとしていなかった。
だがインドのAP社やアメリカの新興メーカーの蒔絵万年筆を見つけてから、俄然メラメラと万年筆の装飾に関して、メッセージを出すことにした。
日本の文化の源は、琳派の時代を見ても判るように工芸や美術はその時代の文化と密接に繋がっていた。情報を得やすい世界とも繋がっている時代でありながら、現代の日本のモノづくりに関しては、お粗末さを感じる。とくに工芸装飾に関しては技術や伝統に囚われすぎているのではないだろうか。はたして時代が違うと言い切れるだろうか。
アップルのモノづくりに触れてみたが、このグローバルの時代ならではの製品作りである。
日本のメーカーはもう一度原点に立ち返りものづくりを考えてほしい。日本ならではの技や装飾技術を活かすのならば、「日本人のものづくりを見てくれ」と自信を持って言えるものづくりをしてほしい。
日本のDNAを感じる、現代に昇華したデザイン、こころときめく素敵なモノを作って欲しい。それは単に一時代の美術を取って付けるのではなく、現代の日本や目指す理念を感じるようなものづくりを作り出して欲しい。
(続く)
普段ヘッドルーペの仕事の中で、色々な技やアイデアが工房の中で湧いてきます。
そんな意外な装飾をスマホカバーで楽しんでいます。
かたい話の合間に肩をほぐしてください。