万年筆を漆や蒔絵で飾ろうとした松田権六氏は、世界に漆器を使ってもらえないかもしれないが、印鑑ではなくPenでサインをする世界では、万年筆こそ漆芸の技や装飾の良いステージだと考えたのではないかと推測する。
だが、日本の現状を見ると、世界の会社や宝飾などのブランドとはどうも異質なように感じるのは、私だけではなく世界の高級品を扱っているバイヤーからも聞こえてくることなのです。
1010をご存知の方は、日本の装飾万年筆と比べてどう思われるだろうか。
蒔絵万年筆の多くの装飾は、流通を考えた量産の品は別として、日本の美術や古典を使っているが、消化しきれていないデザインが多く、とりあえずは緻密な技を魅せようとしたものなど、色々な万年筆が作り出されている。
ものづくりには、プロデュースが必要で、過去の名品や素敵なものが作り出されたのは、良いプロデューサーがいたからである。Caran d'AcheやCartierがつくれるPenを日本のメーカーは何故作れないのだろうか?
蒔絵のファンとして残念に思うと漏らされたパリのお店のオーナーの声が耳に残る。
また、今密かに、海外から日本の漆芸装飾を使った色々な商品企画が持ち込まれようとしていることを、日本のメーカーは気づいているはずだけれど・・・・。
(続く)